この度、コクー社は、岐阜県の「障がい者職業能力開発校」様に、障がい者の方への職業能力開発の支援として、ITリテラシーの習得に関する講座をご提供しました。そこで、今回の講座を企画いただいた「十六電算デジタルサービス株式会社」様にもご参加いただき、お話を伺いましたのでご紹介します。

インタビュー

十六電算デジタルサービス株式会社
DX事業部DXコンサルティング部 部長

岩田 規明夫氏

岐阜県立障がい者職業能力開発校
訓練部 Webデザイン係

服部 徹雄氏

コクー株式会社
ITインフラ事業本部
エデュケーションサービス部 部長

越野 雅規

 

皆様のご担当についてお聞かせいただけますでしょうか?

服部さん:
はい、私は、岐阜県立障がい者職業能力開発校のWebデザイン科の指導員を担当しており、ウェブデザインに関する技術的な指導を行っています。また、障がい者の方々も一人ひとり特性があるので、その点を配慮しながら技術支援と就職支援をしています。

岩田さん:
私はJDDSDXコンサルティング部に所属しており、普段は事業者様のITDX化のご支援を通じて課題解決のお手伝いをしております。また、コクーさんなど理念に共感できるパートナー様との業務提携を担当しているほか、十六フィナンシャルグループの社員向けの研修や勉強会の講師なども務めております。他には、愛知県にある日本最大級のスタートアップ支援拠点STATION Aiにてスタートアップ企業様のご支援もしております。

越野:
私はコクーのITインフラ事業本部に所属していて、インフラエンジニアを育成するための教育サービスを提供しています。提供しているカリキュラムは、主に業界未経験の方向けに構成されていて、最近では一般企業向けにITリテラシーの習得研修も提供しています。

今回、どのような内容のIT訓練講座を実施されたのでしょうか?

越野
十六電算デジタルサービス様にもITリテラシーの習得研修を受講いただいているのですが、今回はその研修内容をもとに、障がい者の方向けのIT訓練カリキュラムに改編して提供しました。

具体的には、「ITインフラとは何か」「業界構造やプロジェクトの進め方」「ITインフラの構成要素」といったITインフラ基礎からはじまり、「サーバー」「ネットワーク」「セキュリティ」「仮想化」といった技術的な知識習得、最後に実習としてWindowsサーバーの構築までを全5回の講義で実施しました。

IT訓練講座の実施と提供内容が決まった背景をお聞かせいただけますか?

服部さん:
本校としても、担当指導員が質の高い職業訓練を実施するために、指導力向上に努めていますが、カリキュラムの中でコンピュータ技術を教える際に、内部のリソースだけでは技術的に不足する部分があると感じていました。そこで、外部の専門家による講義を取り入れることで、より充実した職業訓練を実施できるのではないかと考えて、JDDSさんのご支援を受けて実施することを考えました。

岩田さん:
特にこちら開発校様の施設自体は建物も新しく、今後も試行錯誤というか様々なカリキュラムを考えながら立案していかなければならないのではないか、外部の知見を活用するのは良いのではと考えて、ご支援内容を提案させていただきました。

Webデザイン科という分野で考えますと、Adobeのデザインツールでデザイン制作だけを学ぶよりも、ホームページを作ることになった場合、ホームページはどこに置くのですか?となると当然サーバーのことを理解しているとプラスになりますし、セキュリティーやネットワークのことを考えることも必要になるので、ITインフラ自体の知識がベースとしてあると良いですよね。デザイン制作作業をするだけの人では終わらずに、ビジネスの幅とか機会が増えるのではないかと考えて、ちょっとマニアックなサーバー設定も含めてコクーさんに研修プランニングをご相談しました。

ちょっと難しいかなとも思ったのですが、興味を持っていただき勉強を進めてもらえるきっかけづくりにもなれたらいいなと。就職支援を考えて、幅広く学んで吸収いただける場をご支援したいという思いで提案しましたが、この我々の提案と開発校様のニーズが合致したのではないでしょうか。

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準備段階や実施の時に苦労されたことなどはありますか?また、服部さんと岩田さんは現地で講義をサポートいただきましたが、いかがでしたか?

服部さん:
本校が依頼した大まかなカリキュラム内容を越野さんが汲み取って準備していただいたので、越野さんには大変お世話になりました。

越野:
いえいえ(笑。

服部さん:
今回の講義は、遠隔から『会議システム』を使用して講義していただいたのですが、本校としては、このような方法で実施すること自体が初めての経験だったので少し心配でした。でも、質問があれば双方向のコミュニケーションで対応していただけましたし、現地で講義していただいている感覚で受講できたので非常に良かったです。

岩田さん:
ウェブでOKならば、講義してくれる会社さんは全国にたくさんあると思うので、どうしても現地に来ないとダメですよという条件を撤廃するだけでも、様々なサービスにアクセスできるようになるのではないでしょうか。そういった意味では、今回の『フルオンライン』による提供方法は開発校様にとって新たな取り組みとなりいい機会だったと思います。

越野:
講義をしている側からすると、受講いただいている皆さんの顔が全体的に見えないと、若干不安ではありましたね・・・。

服部さん:
講師の方からすると見えないと不安だと思います。ただし、訓練生によってはご自分がカメラに映っていることで緊張する方もいるので、難しいところはあります。

岩田さん:
そうですよね・・・。今後は、教室の前方から全体の雰囲気が映せるようにするなど、何か技術や仕組みで工夫できると良いかもですね。

越野:
私から気になっていたことは、質問とかしやすかったのかなと・・・どうでしたか?

服部さん:
質問については、どうしても手をあげて質問をすることができない方もいるので、教室にいる私からのサポートをもう少しできれば良かったと反省しています。

岩田さん
そうですよね、質問される方は特定の方でしたね、苦手意識がある方は、少し難しかったかもしれない。実際、お昼休みになったタイミングで私のところに何回も質問に来てくださった方もいましたね。専門領域になると、私もうまく答えてあげられなくて・・・。

越野:
服部さんも結構質問してくださっていましたよね?

服部さん
はい。私も教室で指導しながら講義を聞き勉強になりましたし、緊張して質問できない方のサポートができればと思い、いくつか質問させていただきました。

岩田さん
あとは、教室でのサーバー設定は、ちょっと大変だったかな・・・と。全体的にはうまく進んだかと思いますが、やはり操作自体でスムーズに進んでいる方と手が止まってしまう方がいらっしゃいましたね。

越野:
私も、健常者の方を含めて様々なところで講義をさせていただいていますが、ペース配分含めて、受講されている方のレベル感にうまく対応できるように講義を進めることの難しさはいつも感じています。

岩田さん:
すごく良かったと思ったと思う点があります!

今回は隔週で講義を実施いただいたのですが、1週間後の講義実施時に、先週の振返りをしっかり長めの時間をとっておさらいをしてもらいました。

服部さん:
講義が終了した日か翌日に、学んだことや質問事項を書き出して越野さんに別途見ていただいて、次の週の振返りの時に補足説明をしてもらう方法を取り入れても良かったかもしれません。口頭で質問できない方も文面であれば質問できると思います。

岩田さん:
チャット機能を使うのも良いかもしれないですね。リアルタイムで講師に質問できるし、生徒さん同士のコミュニケーションにも活用できますね。

服部さん:
チャット機能を使えば、質問できる方がいると思います。

越野
なるほど。講義のなかでも、チャットでの質問対応の時間でコミュニケーションを増やすことは良いかもしれないですね。

岩田さん:
チャットを活用した双方向の講義スタイルも良いかもしれないですね。

越野:
資料やURLもチャットで送ったりできますもんね。

岩田さん:
今、ビジネス自体も一回もリアルで会わずに全部オンラインで対応することも結構ありますし、そのようなことに慣れるのも教育の一環なのかな、と思います。あまり講義という形式に拘らず、実社会に即した経験をすることが重要だと思いますし、民間でやっているJDDSとコクーでご支援させていただく意義がありますよね。

服部さん 越野:
本当にそうですね。

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講義を受けられた方は、どのような学びを得られた様子でしょうか?

服部さん:
ITインフラという領域については訓練生が初めて習う領域だったのですが、少しは知識として習得できたと思います。訓練生からは「未知のコンピュータ知識を学べて良かった。」「講義資料がデータで提供され、書き込みができて活用しやすかった。」などの感想をいただきました。一部難しい内容もあったとの感想もありましたが、全体的に好評でした。また、講義をきっかけに、一部の訓練生が自主的にサーバーを構築してみるなど、ITインフラ技術への関心が高まった様子が見られました。

岩田さん:
すごく良い経験ですね!

越野:
すごい、嬉しいですね!

服部さん:
本校としては、全体的に好評で終わることができました。越野さんのお立場からすると教室の反応が見られないのが一番やりづらかったと思います。そこは改善できればと思っています。

岩田さん:
私、ずっと教室でサポートしていましたが、私じゃなくて越野さんに居てもらった方が良かったかな・・・(笑。

今後、このようなことをやってみたいという研修内容などはありますでしょうか?

服部さん:
Office系ソフトの基礎から応用までの講座にも関心があります。

越野:
使い方の基礎から、VBA開発などの上級レベルまで弊社でもご対応可能です。その他、Webデザイン科ですと実践的なCMS(コンテンツ管理システム)の導入を絡めた研修も良いかもしれないです。

岩田さん:
確かに。CMSまで勉強すると保守運用の対応も理解して実践できるようになるので、良いですね!使いこなせれば、ウェブの画像や写真などを差し替えてという作業依頼にも対応できますし。

今、多くの企業でコーポレートサイトの運用やSNS運用の人材が結構不足していると聞きますので、その部分のお仕事に対応できるようになりますね。

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他都道府県様で、同じような課題を抱えておられるところがあるかと思いますが、そのような担当者様にメッセージがあればお聞かせいただけますか?

服部さん:
近年、デジタルトランスフォーメーション(DX)やグリーントランスフォーメーション(GX)の進展といった大きな変革の中で、生産性や技能・技術の向上のために必要となる人材の確保・育成が求められています。職業能力開発の分野においても、DXGX分野に対応したものづくりの人材育成が重要となってきています。

本校指導員も、日々、そのような技術革新やニーズ等に対応できる技能・技術や訓練技法等の習得、指導力の向上に努めております。そのような中で、今回のような、業界の最先端でIT人材育成等に取り組んでおられる外部の専門家に訓練指導を担っていただいたことは、訓練生だけでなく、指導員にとっても大変、有意義であったと思います。また、必要に応じ、外部リソースをうまく活用させていただきながら、職業訓練の更なる質の向上を図ることができると思います。

開発校情報
岐阜県立障がい者職業能力開発校ロゴ

開発校名

岐阜県立障がい者職業能力開発校

住所

岐阜市学園町2丁目33番地

 

企業情報
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社名

十六電算デジタルサービス株式会社

本社

岐阜県岐阜市神田町7丁目12番地 十六ビル4階

※取材日:2024年9月